当社の前身であるソニーケミカルは1962年3月に、プリント基板の回路用銅箔製品や工業用接着剤製品の製造販売を行う会社として、ソニーの全額出資によって設立されました。1987年には東証二部に上場しましたが、2001年にソニーの100%子会社となって上場廃止となりました。その後、日本政策投資銀行とユニゾン・キャピタルが共同出資したファンドに買収され、2015年7月に東証一部に再上場を果たしています。このように紆余曲折を経て今に至っている訳ですが、その事業内容は、素人の僕にはなかなか分かりにくいものです。
セグメント情報によれば、2016年3月期の売上高の構成は光学材料部品が46%、電子材料部品が54%となっています。その具体的な内容については、決算説明資料によれば、光学材料部品には反射防止フィルムなどの光学フィルム、光学弾性樹脂(SVR)、光ディスク保護材などの光学樹脂材料、当社製品を用いたパネルの貼り合せ工程などの光学ソリューションがあります。また、電子材料部品には、工業用接着剤、機能性テープなどの接合関連材料、異方性電導膜(ACF)、リチウムイオン電池二次保護素子などの表面実装型ヒューズ、無機偏光板、無機波長板などのマイクロデバイスがあります。これだけではよくわかりませんが、IT機器やAV機器に使われていて、PCやスマートフォン、テレビなどの市況に影響を受けそうだということは何となく分かります。
中期経営計画によれば、製品カテゴリでは光学フィルムを第三の収益の柱にすることを目指していて、製品の応用領域では新領域として自動車や通信・半導体、環境などを挙げています。3年間の中期経営計画の最終年度である2018年度には売上高100億円を目指し、最終年度までのR&D、設備投資、M&Aなどの戦略投資額は500億円としています。
2017年3月期は、円高や市況の悪化により減収減益を予想していましたが、想定為替レートを100円から110円へ修正したことなどにより、1月16日に通期業績予想を上方修正しています。中期経営計画の売上高100億円の達成はかなり厳しいとは思いますし、今期はタコ配当となりますが、どうしても市況の変動に大きく左右される業種ですので、短期的な業績の変動に一喜一憂せず、長期的な視点で見ていきたいと思います。
主な指標(3月13日現在)
株価 1,235円
時価総額 780億円
予想1株配当金 55円
予想PER 4,116.67
実績PBR 1.42
予想配当利回り 4.45%
*データは四季報オンラインより引用